DTMF のしくみ
二周波の DTMF 信号と DTMF キーパッドの完全ガイド
目次
1. DTMF とは
DTMF は Dual-Tone Multi-Frequency の略です。押しボタン式電話機が、押された数字を電話網に伝えるために使う信号方式です。1950 年代の終わりにベル研究所で開発され、1963 年に AT&T が「Touch-Tone」として商用化し、ダイヤル式電話機のダイヤルパルスに取って代わりました。 電話機のキーはそれぞれ、低群から 1 つと高群から 1 つの純音を同時に出します。この二周波の方式のおかげで、信号は声や背景の雑音による誤検出にきわめて強くなっています。
2. DTMF の周波数マトリックス
DTMF は 4×4 の周波数のマトリックスで 16 種類のキーを符号化します。行の 4 つの周波数 (697、770、852、941 Hz) と、列の 4 つの周波数 (1209、1336、1477、1633 Hz) を組み合わせます。キーを押すと、行から 1 つと列から 1 つの正弦波が同時に鳴ります。 たとえば「5」を押すと 770 Hz (2 行目) と 1336 Hz (2 列目) が同時に鳴ります。この組み合わせがそのキーを一意に表します。
3. キーパッドの使い方
対話式のキーパッドは、16 個のキーのどれかを押すと本物の DTMF トーンを鳴らします。波形表示は合成された信号をリアルタイムに示し、キーパッドの上の表示は、いま出ている正確な周波数を示します。 キーボード ショートカットも使えます。物理キーボードの 0-9、*、#、A-D を押すと、対応するトーンがすぐに鳴ります。
4. シーケンスのダイヤル
入力欄に数字のシーケンスを入れて再生を押すと、順にダイヤルされる音が鳴ります。カンマは数字の間に設定できる休止を入れるので、「9,5551234」のように、9 で外線をつかんでから番号を送る実際のダイヤルの流れを再現できます。 トーンの長さ、数字の間の間隔、カンマの休止の長さは、いずれも詳細設定で調整できます。
5. 詳細設定
4 つの項目で DTMF 信号を細かく調整できます。
トーンの長さ (40~500 ms)
1 桁のトーンが鳴る長さです。ITU-T Q.24 が挙げる受信器は 40 ms 以上のトーンを認識し、欧州の送信側仕様 ETSI ES 201 235-2 は自動送出のトーンに 65 ms 以上を求めています。既定の 120 ms なら、ほとんどのシステムで確実に検出されます。
間隔の長さ (40~500 ms)
続く数字の間の無音です。既定の 60 ms でほとんどのデコーダーには十分です。
カンマの休止 (200~2000 ms)
シーケンスの中のカンマが入れる休止の長さです。既定は 500 ms です。
Twist (-4~+4 dB)
Twist とは、DTMF 信号の 2 つのトーンのレベル差です。慣例として、高群のレベルから低群のレベルを引いた値を指します。受信器の限度は電話網ごとに異なり、ITU-T Q.24 が挙げる各国主管庁は 5~10 dB の差を許容し、AT&T の基準は高群が低群より 4 dB 高いところから 8 dB 低いところまでを受け入れます。正の Twist は高い周波数のトーンが強いこと、負の Twist は低い周波数のトーンが強いことを意味します。
6. WAV の書き出し
DTMF のシーケンスや電話網の可聴音は、ふつうの WAV 音声ファイルとしてダウンロードできます。書き出したファイルはサンプリング周波数 44.1 kHz、16 ビット PCM で、音楽 CD と同じ品質です。 シーケンスを入力し、必要に応じて時間の値を調整して、ダウンロード ボタンを押してください。ファイルはすべてブラウザーの中で作られ、サーバーには何も送られません。
7. A、B、C、D のキー
一般の電話機のキーパッドには 12 個のキー (0-9、*、#) しかありませんが、DTMF そのものは 16 個を定めています。残る 4 個の A、B、C、D は 1633 Hz の 4 列目に並びます。 これらのキーはもともと、米軍の電話網 AUTOVON (Automatic Voice Network) のために設けられ、呼の優先度を示していました。A = Flash Override (最上位)、B = Flash、C = Immediate、D = Priority です。
8. 出典と規格
DTMF は国際的な電気通信の規格に定められています。主な出典は次のとおりです。
- ITU-T Recommendation Q.23. "Technical features of push-button telephone sets" — the DTMF frequency allocation and transmitter tolerances. ITU-T Q.23 (1988)
- ITU-T Recommendation Q.24. "Multifrequency push-button signal reception" — receiver criteria adopted by various administrations. ITU-T Q.24 (1988)
- ETSI ES 201 235-2. "Specification of Dual Tone Multi-Frequency (DTMF) Transmitters and Receivers; Part 2: Transmitters" — European transmitter requirements. ETSI ES 201 235-2 (2000)
- Schenker, L. "Pushbutton Calling with a Two-Group Voice-Frequency Code," The Bell System Technical Journal, vol. 39, no. 1 — the original two-group code design. Schenker (1960)
- Wikipedia. "Dual-tone multi-frequency signaling" - Comprehensive overview of the DTMF system, frequencies, and history. Wikipedia — DTMF signaling
- Wikipedia. "Precise tone plan" - North American call-progress tones. Wikipedia — Precise tone plan
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